みずたまり

はしりながらねむれ

みずたまり第40回例会

23日午後2時から記念すべき第40回例会を開催。新加入の金田さんも初参加。いつもの県民文化会館の会議室がとれなかったため、白兎会館を会場にした。いつものように池本一郎先生の選3首。
 ◎ 読解力思考力そして判断力首相の値に近づく子ども 〈荒〉
 ○ 始まりはすでに終わりを受け入れてる 残りしひと葉に夕日は射して 〈中〉
 ○ 耳奥に林檎をかじる音残るさらりと哀しみうら返す朝 〈中〉
 「読解力」の歌。全58首の中での最高の評価作品にぼくの歌が選ばれた。池本先生曰く、「読解力・思考力・判断力などの観念的な言葉が一首の中にこれほど多くあればまず歌としては失敗することが多いが、これは成功している稀なケース」だと。「子どものことを言っているようで首相のことを言っている。今の私たちがありありと感じることができる」と。単純な歌なのに恐縮するなぁ。「値」は「レベル」「域」でも交換可能だが、作者の意図が失敗している訳でもないからこのままでもよいと。
 「始まり」の歌。池本先生の評では、生と死の循環的な終わりと始まりのなかで終わりがまた始まりだというようなことを感じさせる歌だと。会の中では、前半と後半がつきすぎではないかという意見もあった。池本先生はよくあっているとのこと。「すでに」「ひと葉」は再考の余地あり。
 「耳奥に」の歌。今回の題詠は「さらり」。比較的歌の形になっているものが多かったとの先生の評。オセロゲームのようにすべてうら返すことができる、前向きなリセットができるということ。前向きで気持ちのよい歌とのこと。ちなみに次回の題詠は「からから」。互選での最多得票歌は次。
 △ 職員会黙し過ごせば間違いも犯さず何もなき日で終わる 〈井〉
最多の3評。「過ごせば」→「過ごして」、「犯さず」→「せずに」にできるとのこと。また、職員会から一日の終わりまでではすこし時間のスパンが長すぎるので「何もなき日で終わる」→「何もなき日のようだ」「何もなき日にならん」などにした方がよいとの指摘。
 休日の昼間の開催とあり今回は4時間びっしりの会であった。例会後、40回を記念して宴を催す。池本先生にはいつもお礼らしいお礼ができていないので、20回の鞄、30回の電子辞書についで、今回は「上神焼夫婦茶碗(名前入り)」をお礼として贈る。上神焼の中森さんがこの為によい仕事をしてくださった。このことでは中本さんにお骨折りいただく。素人集団のみずたまりが40回例会までつづいたことは奇跡的である一方、みずたまりあんの中に短歌というみずたまりが今後も干涸らびることなく存在し続けるのではないかと思えるほどに短歌のある生活が定着してきたとぼくは感じる。謙虚なる歌づくりを標榜すべしとは池本先生の言葉。