みずたまり

はしりながらねむれ

羅城門(羅生門)と京都タワー

ある日の暮れ方のことである。一人の下人が、羅生門の下で雨やみを待っていた。広い門の下には、この男のほかに誰もいない。ただ、所々丹塗の剥げた、大きな円柱に、蟋蟀が一匹とまっている。

これは芥川龍之介羅生門」の冒頭部。「羅生門」と言えば、高校の現代文の定番中の定番教材だから日本の高校に通ったひとならかなりの割合でならっているはず。記憶に残っているかどうかは、別として。。。

 

メルパルク京都で塔短歌会の京都忘年歌会が行われた。会場は6階。何とはなしに廊下の窓から下をみるとメルパルクのほぼ真下に朱色の模型の建物がある。「羅城門(羅生門)だよ」と吉川宏志さん。「あれ?こんなの前からありましたっけ?」とぼく。少し前からあったそうなのだが、まったく気づいていなかった。11月は2回。今月も2回京都駅には来ているのに。何よりたったいまその前を通ったのに、である。見えるものしか見ていなかったわけだ。

 

忘年歌会のあとは忘年会。そして2次会。別れ際には「よいお年を!」と言い合う。それからライトアップされた羅城門を何枚か写真にとっておく。お酒が入っているのに、いつかつかってやろうなどというやーなことも頭の片隅に。職業病だ。やだやだ。

 

羅城門と京都タワーを入れて写真をとってみた。芥川龍之介黒澤明もこの図は思わなかっただろうなぁ。

 

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