みずたまり

はしりながらねむれ

みずたまり第47回例会

今月もいつものようにみずたまり例会が実施された。大阪らから雛鳥さんが初参加!ようこそ雛鳥さま。それでは、いつものとおり池本一郎先生の3選。

◎ プリズムの短き波長が空や海をうみて爆心地の朝の静寂 《あらくれ》
○死の淵を歩める人のそばに在る螳螂といふ命の不思議 《makimaki》
○計算があるわけじゃないテーブルにのせたまんまのボンベイサファイア 《雛鳥》

「プリズム」の歌。60年前の8月6日の広島の雰囲気を上句はうまく演出している。「プリズムの」光と空や青の感じが非常によい演出をしている。下句は今年の広島をぴしっと詠んでいる。ただし、「空や海をうみて」は変更可能。「海を生み空を生じて」などに。そのことと関係して下句「朝」をはずしてもよいのではと。ひさしぶりにぼくの歌が◎でとられた。ありがたや。でも、やはりまだまだ推敲不足なり。
「死の淵を」の歌。螳螂」と生死の関係をうまく詠んでいる。ただ、語句レベルでは最高の必要があるか。「歩める」→「よこたわる」、「在る」→「在り」、「命」→「いのち」などに。makimakiさんは螳螂はなぜか死のシーンによく詠まれているとのこと。
「計算が」の歌。意図的ではない。なぜそこにそれがあるのかわからず放置されている。その意図もわからない。所有者もわからない。ただ、その目立つものが気になる。印象に残る。惹きつけられる。という歌ではないかとは池本先生。

今回は、みずたまりメンバーみなが池本先生に論戦を挑んでおりました。すばらしいことです。みなさんも、それにあたたかく対応なさる池本先生も。
最後に、池本先生から比喩についての教示。河野裕子吉川宏志の歌を用いて、①有力な歌人は比喩がうまい、②意表をつくような比喩と日常のありきたりなものへの着地、など刺激をいただいた。

反省会はジャパンズで。落合さんを迎え、一人暮らしを初めた福安さんも久しぶりの参加で大変盛り上がった。やはりみずたまりはいいなぁと福安さんの吐露もあり。人間は恋愛派・社会派など2分法によって位置づけられるのではなく、だれでも多面的であり、またそのように生きている存在でしかあり得ないのではないか。みずたまりをつづけていくこと。このことはまぎれもなくぼくの生である。みずたまりっていいなぁ!
次回例会はぼくの渡米前に実施してくださることになり9月9日。