みずたまり

はしりながらねむれ

中井窯にまた行きました

手仕事フォーラム本当にあっぷあっぷの日々。ようやくブログに時間を割いたり、アメリカの準備に時間を割けるようになりつつある。この土日はアメリカの準備と滞っていた私事をやっつけた。いや、完了はしていない。ちょっと元気が出てきたし、さらに深呼吸したくなり、河原町の中井窯へ行く。河原の田んぼの稲は秋の収穫に向けて頭をさげつつあった。さてこれで5回目くらいの中井窯。つくと、女将さんがちょうど外にいらっしゃった。覚えていてくださったのか、明るく挨拶をくださる。それにしてもいつもながらの美しい前庭。知人へのプレゼントにいくつか購入しつつ女将さんとお話をする。「いま薬をつけていますよ」という女将さんの言葉、包装してくださっている間に、仕事場へ行き、見学させていただく。二代目實男(ちかお)さんと三代目章(あきら)さんが並んで仕事をなさっていた。章さん(以下坂本さん)もぼくのことを覚えてくださっていたようで「今日は一人ですか?」と声をかけてくださる。實男さんは湯飲み?に釉薬をつけていらっしゃる。言い方は悪いが何気なく作業なさっている感じだ.。が、驚いたことにその仕事は端で見るぼくから見ても美しさが際だっている。すこしして、気を遣って坂本さんがそばに来てすこし作業の解説をくださる。その心配りがうれしい。作業の営みの美しさ、作品の実用性の美もさることながら、それらをこの坂本さんが生み出していらっしゃると言うことに何ともいえず納得する。この人あってのこの作品なのだと。ほどなく仕事に一区切りついたようなので話しかけてみる。ぼくは本当に素人なのでまず、作品が手作りであるのに寸分のちがいなく造形されていること、板にのせている作品が落ちないかという疑問などをぶつけた。坂本さんは笑顔で答えてくださった。坂本さんはコンクールですごい賞をお取りになっているので、コンクールはコンクールようの仕事があり、ぼくたちが手にする作品づくりの作品の仕事とはいかばかりかの差異があるのか尋ねた。そしたら坂本さんは「延長ですよ」とさらっと。うーーん。深い。と、チラシが目に入る。9月9日~12日に青谷の願正寺を中心に「第8回手仕事フォーラム」が開催されることを聞く。まったくしらなかったのでその話をひとしきり。そしたら「10日(土)に全国から40名くらいがここ(中井窯)に来てみんなでつくるんだって。こんな狭いところでなぁ」と。???ぼくは本当に何も知らないから「え?普段は教室とかなさっていないのですよねぇ?」と。「素人さんにはしてませんね。でも、その40名というのは全国の名だたる職人さんで、このレベルの人が一カ所で技を見せるというのはそうそうあることじゃない」と。だから、記録にとどめようと思いますとのこと。坂本さんは国外や国内の他の職人さんに学びに行ったことはないそうだが、他の職人さんの仕事ぶりにもかなり興味をお持ちだった(帰り際に『SILTA』という手仕事ファーラムが出している冊子を数冊いただいた。それには上述の40名の職人が中井窯に結集することがかかれていたが、公式のチラシ(写真参照)にはそのことがない。これはクローズドの実施かな)。また、最近は雑誌にも多く取り上げられているということについても話を。ここでは書き尽くせないが、「メディアにのることでいらないものもたくさんついてくるけれど、いいものを広めるためだから」「ひとにあれこれいわれることで自分がぐらつくようではいけない。自分の仕事がぶれないように磨かないと。それしかない」というようなことをおっしゃった。いまのぼくには本当にずっしり届いた。坂本さんは自分を問い、求め、試行錯誤の連続の中で挑戦しつづけているのだ。その裏側には失敗や苦悩や焦燥も多くあるのだろう。それでも、それをもひきうけて、前を向いて自分にしかできない自分らしい表現を求めて作ろうとしていらっしゃるのだ。今日、また中井窯を訪れてよかったぁ。深呼吸してぼくもすこしずつ。