みずたまり

はしりながらねむれ

ジャイプール

jaipurジャイプールあのたそがれにもどりたし今ひしひしと銀の三日月
             江戸雪『駒鳥(ロビン)』砂子屋書房2009

この歌をはじめて読んだのは、『塔』の誌上だったと思う。たしか、その頃ぼくは、選歌欄評を書く担当であったときで、この歌を選んで書いた記憶がある。そういう時に選んで書いた歌が一冊の歌集になったときに、まびかれずに、ちゃんと入っているっていうのはとてもうれしいことだ。ジャイプールはインドなのだが、もちろんインドということによって感じるものは独特なのだし、インドを放浪した江戸さんにとってはそれは絶対なのだろうけれど。でも、海外にいてひとり街をあるいていて感じることって、違いはあれども、共通性もずいぶんとあるとおもうし、何よりこの歌では「もどりたし」と言っているのだから、現在は違う環境や状況に心身ともにあることがわかる。そういう身体に「今ひしひし」というのがすごいなあ。いいんだなあ。三日月も銀色なんだなぁ。なんだかな。がんばろ。

それでなんでこういうことをと言えば、本日只今飲んでいるビールが、Jaipur IPAIPAというのはどうだろ、普通に流通している言葉と言えるのだろうか。india pale aleのことである。インディア・ペール・エールはインドに船旅で行くときにビールが腐らないようにとアルコール度数を上げたのが起源だ。だから、普通の例えばラガービールがアルコール度数5%くらいなのにたいして8%とか9%ある。ただ、このジャイプールは5.9%。なかなか意欲的で、まじめな、まっすぐなビールである。