みずたまり

はしりながらねむれ

鳥取で simフリー の iPhone をつかう(Y!mobile UQ mobile iPhone7)

iPhone8が発売になるという噂がながれていたころ、ぼくのiPhone6はGPSWi-Fiの調子をおかしくした。2017年7月くらいのことではなかったか、おかしくなったのは。

 

Appleでの電話相談?で、これで回復しないか試してみてくださいとか、Googleで検索したいくつかのことを試してみた。

 1 Wi-Fiを切る。または機内モードにしてみる。

iphone-mania.jp

これを何度か繰り返すとWi-FiGPSのズレが解消されるという例があった。が、ぼくのはそれを複数回(何度も)やってみたがだめだった。

 

 2 再起動してみる。

これももちろんやってみた。何度もやってみたが、状態は変わらなかった。

applision.com

 3 iOS診断をお願いしてみる。

www.appbank.net

support.apple.com

 

 4 リセット(出荷時の状態)に戻してみる。

appllio.com

ぼくのiPhone歴というほどでもないが、ぼくがiPhoneにしたのは3GS(2009年秋)のときから。当時はauの携帯電話をつかっていたのだが、もともとAppleが好きでというかジョブズが好きでパソコンもMacBookProを使っていた。どうしてもiPhoneを使いたくて、au(もともとauにしたのはNTTdocomoという巨大企業に立ち向かうようなイメージが好きだったから)からソフトバンクMNPを利用して移った。その頃の孫さんの勢いも結構すきで、使ってみるとiPhoneはぼくの生活に欠かせないものになった。それからiPhoneがあたらしくなるとほとんど出世魚のように新しくした。おっと話がそれた。(ただ、どうしてか6sとか7にはしていなかった)。いってみればぼくはiPhoneMacにはまずまず親和性が高い状態である。そのようなぼくにとってもiPhoneを出荷時の状態にもどすというのはなんだかちょっぴり緊張する感じであった。容量が無料のicloudでは入らないくらいなので、MacBookPro(このパソコン)にバックアップをとったのちに、出荷時の状態にリセットした。そして、その空っぽの状態のiPhone6でそのままGPSWi-Fiの作動状態をみてみた。果たして、ダメであった。そうそう、GPSの状態はGoogleマップをつかうといまいる地点はさしてくれるが、ナビをつかおうとするとまったくだめという状態。Wi-Fiルーターの直ぐ側なら機能するけれど、5メートルぐらいでもはなれるともうキャッチできなくて4Gに切り替わるという感じであった。果たして、この状態でもはや、ソフトウェアが原因ではなく、ハードウェアの原因だとほぼ確定した。とはいえ、Wi-FiGPSを除けばふつうの生活には支障なく使えるわけで、インオペのように、バックアップからもとの状態に「復元」した。

 

 どうしたものかとおもい、近所にあるアップル公認ではないりんごのマークのあるiPhoneの修理屋さんへ相談に行ってみた。ハードウェアの修理をするともう機種変更を行うときなどに買い取ってもらえなくなります(ざっくり要約すると)と言われた。うーん。まだこのときは、iPhoneソフトバンクで8にするという選択肢もXにしたいという気持も抱いていたので、立ち止まった。

 

 そうこうしているうちに、iPhone8とXが発表になり、販売になった。実はこのあたりから急激に急速にSIMフリーへの興味が湧いてきて、いろいろ調べた。調べるうちに大手キャリアではなく、iPhoneSIMフリーを購入した方が結局は安くなるということに心がぐらんぐらんに揺れた。いや傾いた。いや決めた。そう考えていると、海外にいったときに、SIMフリーは便利だななどおもいつつ、持ち運びができるSIMフリーWi-Fiルーターをもっていたらそれを旅に行った国でつかうのもいいなと思いはじめた。それで調べていると、UQが圧倒的に速い!ということがわかった。

mobareco.jp

 それでも気になるところはあって、まず、iPhoneの新しい機種で動くかどうかの確認がすくなくともwebページではできなかった。

www.uqwimax.jp

 

 10月になってiPhone6sでも利用が出来るようになった(ちなみに、Yモバイルも)ようだが、7とか8とかXは未知。うーん。SIMフリーってくらいだから使えるにきまっている!と思いつつ、何だか不安。それで、とりあえず、SIMフリーWi-Fiルーターをヤフオクで落としてみた。焦らず挑んでいたら3000円くらいで落とすことができた。

auctions.yahoo.co.jp

 ルーターにもいろいろあるから、そこも調べてみて、LTEが使えてそこそこバッテリー寿命も考えて購入するといいと思った。ぼくが購入したのはYモバイルの中古(SIMフリー化済み)のものであった。

www.ymobile.jp

 多分それほど優秀な部類のものではないが、ともかく、これでUQのデータSIMを購入して使ってみることにした。ぼくはiPadminiを持っているので(これはWi-Fiのみネット接続可能=家で使うのみ)、外でも使うことができるし、月々980円ならよいか、と思ってのことだった。さらに調べている段階で、Amazonに初期費用が軽減されるパックがあったので、ぼくは姑息にもそれをまず購入してUQと契約することにした。

www.amazon.co.jp

 これは500円で3000円が不要になるという夢?のようなもので、ぜひ使うべきだと思う。なぜかBIGLOBEとなってもいるがまったく関係の生じないものだった。この500円の商品は紙製のカードでほどなく届き、webで登録するとその2・3日後にはSIMが届いた。ルーターにSIMをいれて、アクティベート。いくつかwebでやらないといけないことはあったが、UQから届いたSIMに書いてある通りにやればまったく困らなかった。ただ、ぼくの場合、ルーターの性能なのか、即座に4G=LTEをつかんだかというと、そうでもなかった。5分くらい放置しておいてもつかまないので、いちどルーターをオフにしてそれからまたオンにして5分くらいしたらLTEが三本立った!(ちなみにいまでも電源のオンオフの塩梅で即座にLTEをつかみとれるわけではなく、5分くらいはゆとりを必要としている)。

 はたして、使ってみると。UQのデータSIMは噂に違わずストレスがない。iPhone6でテザリングしていたときよりはストレスがすくない=速い。MacBookProでもiPadminiでもiPhone6でも本当にストレスがない。これはいい!

 だが、それにしても、iPhone6のGPSWi-Fiの問題はなんら解決していない。気持ちはAppleStoreでSIMフリーiPhoneを購入して大手3大キャリアではないところのSIMで動かそうと思った。問題はふたつ。

 あ) iPhone7か8かXか。

 い) どこのSIMにするのか。

あ)。実際にいまGPSの不調は日常生活には大きな支障はない。7月下旬から10月上旬までの間に、鳥取市での生活以外に、京都(京都市)、福島(郡山市)、徳島(美馬市)、千葉(千葉市)などへ行ったが、Googleマップが使えないなら使えないなりに動けることもわかった。ただ。Wi-Fiが使えないのはいろいろと困る。先のWi-Fiルーターをもって千葉には行ったが、それでも、ルーターの電池もなくなることもあるし、ホテルの部屋や街に飛んでいるWi-Fiを無料でつかえないというのはとてももったいない気がした。(UQのデータは3GBで980円)。家にいても、リビングにある光のWi-Fiは書斎にうつるとダメになるわけで、そこではソフトバンクの4Gを使っていることになる。はやく買い換えたいと思った。もうXはまっていられない!となると、7か8か。

 

い)。かなり悩んだ。切実になやんだ。可能ならばUQにしたいとおもった。データSIMをすでに契約しているので2回線目からは割引きもされる。

www.uqwimax.jp

 でも、7にせよ8にせよ。UQは回線自体がauだからちょっと特殊らしくどよんと不安。といって、遅いのはやだ!速さは必要だ!さらに鳥取は田舎なのでちゃんとすみずみまで通信網をカバーしているところじゃないと嫌だ!など思っていた。加えて、なんだか最新機種の8にしてちょこちょこ動作の不安などおこったらこわいなーと。怯えるきもちがおこってきた。

 それで、まったく視野になかったY!mobileが急に浮上することになった。iPhone7の動作確認が堂々とwebに載っている。さらに鳥取でも4Gの範囲がかなり広い。それはソフトバンクを長くつかってきているからわかることでもあるが、ちょっと安心。でもって、ものすごく安いかと言えば格安SIMのなかではちょいとお高い感じだけれど、機種代金を払い終えているのにいま約1万円の料金を毎月ソフトバンクに払っていることを思えば、Mプランで1年目2980円(2年目3980円)でもぼくにとってはがくんと格安。ぼくにとっては店舗のあるなしはそれほど関係ないが、鳥取市にもちゃんと店舗がある(実はつれあいが既にY!mobileAndroid機種を1年程前からつかっているのだが、店舗はがらんがらんで待ち時間もなく、回線も何らの支障もないと豪語)し、家族割でここも2回線目から500円引いてくれる。

www.ymobile.jp

 と。ここにきて、Y!mobileが確定的に急浮上し、また友人もすでにY!mobileなのだと聞く。くーっ。ここだな。と、同時に8ではなく7で行こうとなんとなく決断できた。新しいものを追うのをやめたからこそのSIMフリーでありY!mobileなのだ。

 

iPhone7の128GBは税抜き価格72,800円。AppleCare+(2年間:税抜き)14,800円を付けた。税金を入れて計94,608円

ソフトバンクからの移行は契約が自由に移れる期間ではなかったのでその解除料金がたしか9,500円くらいとNMPの手数料が3,000円。税金を入れてこちらは計13,500円。

Y!mobileの初期費用がやはり3,240円。

iPhone7のカバーとガラス保護などのグッズをAmazonで購入して計2,740円

www.amazon.co.jp

www.amazon.co.jp

 まとめると。114,088円がこのたびのiPhone7の購入とソフトバンクからY!mobileへの移行に必要となった金額。(備忘のために詳しく記す)。

 

■追い書き

1 月々のランニングコストAppleCare+2年を除く)

Y!mobile 2,980円-500円=2480円(以上がiPhoneでのもの)

・UQmobile 980円(ポータブルWi-Fiのもの)

計3,460円(2年目からはY!mobileが+1000円なので4,460円)

 

2 iTunesのバックアップからiPhoneへの同期の注意

ぼくはちょっとびっくりしてしまい且つ動揺してしまった。

 iOSのバージョンをどちらもそろえること

購入した新しいiPhone7のiOSは11.0。ぼくが前に使っていたiPhone6のそれは11.0.3。iTunesに残っているものも11.0.3。これに気づかず、新しいiPhoneにはじめバックアップが入らなかった。また、ずっとWi-Fiのもと作業をしていたので、Y!mobileのAPNを落とすのをおこたっていた。これをわすれるとWi-Fiがないところでは回線(LTE)が繋がらない。ちなみに、Y!mobileはsoftbank4Gと表示される(UQKDDI LTEと表示される)。

 

 追記(備忘)

My Y!mobileで利用明細などをみていると「通話料」が発生している。あれ?10分以内は無制限で無料ではなかったのか?と不思議に思い、Y!mobileのサイトでチェットして質問したところ、以下のとおりのページを示された。

faq.ymobile.jp

ぼくの場合、留守電を聞きに行ったときに1回20円の料金が発生しているようだ。SMSは3円。あくまで、いまのところの確認。

どうかしてる

iPhoneWiFiをつかみとるちからが著しく落ち、GPSもおかしくなり、ひとつきほどがすぎた。

 

ヤフオクSIMフリーWiFiルーター(ワイモバイルの白ロム)を三千円くらいでおとして UQモバイルのデータSIMをつかっている。うわさにたがわずはやい。でも、ルーターのバッテリーがかなりへたっている。すぐなくなるし、充電に時間がかかる。でも、はやいのははやい。海外のプリペイドSIMをいつかつかってみたい。

 

それで、iPhone。買い替えたいけど、8にするかXにするか。Apple Storeで買うか、キャリアのままいくか。

 

そんなことより、たいせつなことはあくさんある。厭世の空気がぼくのあたりでは濃くなっているけれど。これもまたどうなることか。

 

なにもかもはやくわすれてしまおう。

 

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白い花

窓に白い花が見える。

 

去年はどうだったかなと思うが、なんだか思い出せない。いまの仕事場になって6年目にやっと気づいたということか。

 

白い花は、高さ10メートルくらいの泰山木の上のほうに咲いている。もうちょっと背の低い泰山木も敷地の他のところにあって、去年は一輪だけ咲いていた。窓に見る泰山木の高木の花はみっつよっつある。

 

あっ、咲いてますね。というような会話をまだ誰ともしていない。誰も白い花に気づいていないのだろうか。窓の泰山木に。

 

むかし、むかし、「実はずっと好きだったんです」という手紙をもらった、という手紙をもらったことがある。ややこしいけれど、つまり、ぼくが「実はずっと好きだったんです」と言われたわけではなく、メールなどない時代だったので、「実はずっと好きだったんです」という手紙をもらったのだけれど、どうしようかという相談のような手紙をもらったのだった。その手紙のひとは、「実はずっと好きだったんです」という言葉にはとても力があるというようなことを書いていた。その手紙を読みながら、ぼくは、いつか「実はずっと好きだったんです」と誰かに言わなければならない気持ちになったのだった。結局、「実はずっと好きだったんです」と誰かに言ったことはなかったけれど。

 

二ヶ月ほど前。昔の手紙ががさっと出てきて、「実はずっと好きだったんです」というその手紙もそのなかにあって、読み返した。その手紙には家族の死のことや「実はずっと好きだったんです」と言われたことや、ぼくについてのことが書かれていた。そこにむかしむかしのぼくには気づくべきなのにまったく気づくことができなかったことをみつけた。

 

そこには白い花がちいさく咲いていた。

 

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nightmare

おまえこそが邪悪なものなのだ。

 

知らない間に、太陽の傾く時間が遅くなっていた。まだ明るいようで、でもまたそこになにか暗い気配もひろがりつつあった。影はぼくのからだをこえて伸びていく。

 

それにしてもぼくは影にじぶんをみるのではなく、影そのものをみているだけだった。そのうち山々に光が遮られはじめると、影は、ぼくの足もとにかすかにまとわりつくほど小さく、薄くなった。

 

おまえこそがなにもわかっていない。

 

そんなことを言う者はいなかった。なんの声だ。影に声などあるわけではないのに。

 

むしろ、声などではなく、見えなくなった影は、ぼくという根拠をはなれて灯のそばにいちどは集まって、そこを離れるように伸びている。

 

ぼくはiPhoneにイヤホンをさしてジミヘンドリクスアンドエクスペリエンスの「真夜中のランプ」をききはじめた、歩きながら。その曲は「真夜中のランプ」のテイクとしては比較的長いバージョンでジミの声がギターの野生的な演奏よりももっと、彼の孤独をあらわしていると思った。いやジミのギターによって声があるものの影のように、力をもっていたのかもしない。

 

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街灯に欅の若葉が、きっとそのような光ではない光によって本来とは違うみどりを映し出している。いや、映し出されてしまっている。

 

 

尾崎翠の歌

吹くな風こころ因幡(いなば)にかへる夜は山川とほき母おもふ夜は

         尾崎翠稲垣眞美編『迷へる魂』筑摩書房2004

 

 たまには短歌のことも書こうじゃないか。

 

というほどでもないのだが。鳥取では書家の柴山抱海(しばやまほうかい)さんが中心になって尾崎放哉の自由律俳句をこれぞ鳥取文壇という勢いで盛り上げている。それはまったく悪いことではなく、むしろ鳥取の文学を盛り上げるのはありがたいこと。ただ気になることもあって、ちいさな県を圧倒するシェアのローカル新聞社もその企画を県の財源でばんばんやっているみたいなことをきく。おいおい! もちろん問題なのは、それだけではなくて、尾崎放哉ばかりが唯一のようにあがめたてられてあつかわれているところ。何と言えばいいのか。もっと裾野というか多様性というか、いるんですわよ。

 

本当に信じられないのだけれど、鳥取では、杉原一司も佐竹彌生もまったく無視されている。鳥取県立図書館(公立図書館としてはとても冴えていていくつも賞をとっている)の郷土資料室(閉架)に古い『青炎』が残っていたりして佐竹彌生のことは発掘できるところもあるけれど、杉原一司にいたっては、一般的な塚本の全集や「メトード」の復刻版程度しかない。ほとほと残念なのだ。愚痴になってしまった(でも真実だ)。

 

他に、古典和歌で言えば、香川景樹が鳥取出身なのだけれどここに至ってはもはや鳥取県民のうちどれくらいの人が知っているのかしら。。。という感じだと思う。ながくなった。

 

掲出歌は尾崎翠

 

尾崎翠鳥取高等女学校(いまの鳥取西高校)を卒業したあと補習科へ行き、それから地元岩美の大岩小学校の代用教員をつとめながら雑誌に投稿する。その後、20歳をすぎてから東京に出て日本女子大学に入り、あれこれ寄稿。そのうち雑誌「新潮」に作品を寄せていたことがよろしくなかったとかで退学させられてまた鳥取に帰ってくる。「第七官界方向」とか「こほろぎ嬢」などは有名であるし、全集は何冊か出ている。ぼくの持っている筑摩の『定本尾崎翠全集(上・下)』には歌はまったくはいっていない。どうしたことか。とほほ。ということで、そこからもれたものを稲垣眞美編『迷へる魂』筑摩書房がひろってくれていて、歌も載っている。

 

因幡」と言えば鳥取市界隈(ちなみに「伯耆」は米子界隈で言葉も文化も違うわけです。おなじ鳥取県でも)のこと。となると思い出すのが以下の和歌。

たち別れ稲葉の山の峰に生ふるまつとし聞かば今帰り来む
                在原行平古今和歌集』365

 

この和歌の「稲葉」は掛詞で「稲葉」山(実在=因幡三山のひとつ)と「往なば」、またもちろん「まつ」も掛詞の典型で「松」と「待つ」など技巧が凝らしてある。何と言っても百人一首の和歌であるから、有り難いことこの上ないという気持の方も多く、鳥取市界隈の小学校ではみんな教えられるほど人口に膾炙した和歌。けれどこの和歌を解釈して味わうひとはほとんどいなくて、いや味わうほどでなくても、その意は、帰ってこいといったらすぐにでも帰りましょう!というような。なんというか京都を離れて因幡に行くことをいやがっているというか悲しんでいるというか軽んじているというか、もちろん左遷なわけだし、そんな歌。因幡がちょっとかすんでる歌。なのに!百人一首の歌ということで因幡ひとたちはありがたがっている。床の間に、ひかよろー!ってな感じで、たてまつっている。

 

この和歌にひきかえ、尾崎翠の掲出歌の因幡は存在感がある。ようやくそうそう、尾崎翠の歌。ここでは、やっぱり、「吹くな風」という初句の入りがとても切実で、なんでそうまで初句で言ってしまうかというくらいつよい。後半は対句のようにふたつならべられていて、ひとつは「こころ因幡にかへる夜」。これは単純に実家のある因幡鳥取のことを思い出している夜なんだということ。そうしてそれは漠然とした鳥取ではなくて、「山川とほき母思ふ夜は」とあるので、幼い頃に遊んだり生活の場所として身近にあった鳥取の山や川、そしてお母さんのことを思う夜と具体的になっている。もうそこまでこころが故郷にいってしまっているんだから、そのうえ、風がふいてしまったらこの私の身体も鳥取に飛んでいってしまいそうだという感じだろう。東京に出て、苦労しているのだろう。うまくいかなかったり、お金がなかったり、ひと恋しかったり。そんなふうに因幡をもとめつつ、ぐっと歯を食いしばって、踏ん張りながら文学へ向かっている感じ。そこがすごくいいんだよなあ。

 

写真は松ならぬ我が家の鉢植えオリーヴ。 白い花が咲いている。

 

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昼飲み

金曜日は土曜日の編集企画会議に備えて京都へ行った。葵祭はおわったはずだが、いつもにもまして、人が多い感じ。こんなものかなともおもうが、京都の地下鉄から多かった気がするが。いつも通りなのかもしれない。

 

京都はもう夏の陽気。麻のジャケットを脱いでTシャツであるく。

 

ホテルは河原町二条というか、地下鉄の烏丸御池から徒歩15分くらいのところにある小さなでもちゃんとしたホテルドルフ。

 

なぜかよくわからないのだが、料金がとてもやすく、さらにフロントで広い部屋にランクアップされる。とことん有難いことがつづく。(ちなみに定宿にしたいくらいなので今後の日程を楽天トラベルで検索したが、この日は幸運そのものだったようで、ぼくが泊まる安宿とは違っていた)。部屋もとても新しくて落ち着いていて清潔感がある。(翌朝はトーストとサラダとオレンジジュースとゴーヒーの朝食もついていた)。何かが当たったとしか思えない幸運。ロンドン便でビジネクラスにランクアップしていらいの幸運とでもいえようか。

 

とはいえ、まだ、3時を回ったところ、地下鉄烏丸御池で友人と落ち合って、ネットで見つけていた早くからやっているバーへいってみる。ちいさなところ。まずはじめてのバーでいただくぼくのルーティンのジントニックをおねがいする。とりださたジンはロンドンヒル。ほほー!でもって、ひとつひとつの所作もテキパキ。くっきりすっきりの(量は少なめ)この日の暑さにぴったり。つぎは、ソルクバーノ、カイピリーニャ、チェイサーのビールそしてスコッチリダーのハイボールといただく。ぼくはまだのみたいのでのみつづけるが、友人は別の集いへ。みんな大変なんだな。すいません。

 

それから、店を出てそばにある居酒屋へ行くと、玉川の山廃がありいくつかの肴とともにいただく。もはや、上機嫌。

 

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リラックマの器

ぼくのともだちに、マイレージ=マイライフを地でいくひとがいる。一緒に飲んだり食べたりすると、ここはまずぼくが払いますといってカードで支払ってマイルをためていく(あとでわりかん)。彼はもともと飛行機や空港が異常なくらい好きなので、飛行機にもやたらと乗る。そんなこんなでため込んでは飛んでいる。

 

ぼくの近くにやはりポイントをためるのが好きなひとがいる。それで、先日、リラックマの器をくださった。ふたつも!こういうポイントをためるために?毎日LAWSONでパンをかっては食べているのだそうだ(ちなみにこの方もマイルを貯めて飛ぶひとなのだそうで、支払いはすべてカードなのだそうだ。リラックマのシールとマイルをダブルで獲得している!とのこと)。景品そのものにはほぼ興味がないのだけれど、とにかく貯めて、交換するのが心地よいのだと。そしてその上で、それを誰かにあげてよろこぶ姿をみるのがうれしいのだと。は、はあー、頭が高い。ではないが、まさに器の違いをみせつけられる気がする。というか、ポイントをためることへの執念とそれを交換したうえで他者へ贈与するという一連のプロセスは、モース、レヴィ・ストロースバタイユの系譜ではあるまいか、などと、くだらないことをおもうほどに、ただただ感心してしまう。

 

集めるとか貯めるという行為が、ぼくは、ほとほと苦手で、いや、ほとんど習慣にない。だから、ぼくにとって、この景品は新大陸の発見のようにワンダフルなものなのだ。(特にリラックマに限らず)。感謝。感謝。

 

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