みずたまり

はしりながらねむれ

辨天娘槽搾り中垂れ

中垂れあたらしい年に飲むはじめの酒は、やはり日本酒。鳥取県若桜町は太田酒造の「辨天娘槽搾り中垂れ」。年末に中沢酒店で購入したもの。五百万石をわずか70%しか搗いてないこの酒は、飾らないのに口に入れた途端鼻にぬけていく香りがすばらしくちょっとした酸味も心地よい。何より中心が太い味がする。日本料理「淳」のおせちを食べながら(つまり食中酒として)飲むのには抜群である。淳の店主は縁あって彼の若い時代からの付き合いである。新地で修行を積んで、それから店を構えてもう(たぶん)7年くらいになるのではないかしら。基本を大切にした手仕事とはこういうことだということを食べるたびにいつも立ち止まらせてくれる。もちろん、器は中井窯。手にするたびに、あの静かで整然とした仕事場や庭を思い出す。やはり、鳥取にあって、いや鳥取にあるからこそ剣を磨くようにそこにある大切な思想を技を磨き、民芸という枠組みを更新していこうとなさっているのだと感じる。

ぼくの仕事もそれから短歌もこういったひとびとが、やっているように、日常に静かに丁寧にやっていきたいものである。そんな2013年。もちろん、ぼくのまわりのひとびとに大いにたすけてもらうことは、欠かせない。みなさま、どうぞよろしくお願いします。

机と椅子

机と椅子ビザールの開店は1988年11月16日。今年は2012年だから24年間つづいたことになる。だが残念なことにビザールは24年の歴史を今月で閉じる。それで、お店の片付けに昨日と今日とすこしだけど行ってきた。ビザールは心というか思想がすみずみにまで行き届いた店で、椅子は既製品だそうだが、机も、棚も、カウンターもみんな店主が図面/スケッチを描いて職人さんにつくってもらったのだそうだ。開店前に、その机や棚ができて備え付けられたときに、こともあろうに店主はどうしてもしっくりこなくて、色を塗り替えたりもしたのだそうだ。そういうこだわりはちいさなところにもあって、入口のドアノブ、トイレのドアノブ、洗面蛇口、スピーカーなどきりがない。言い出したらきりがないが、ひとつひとつに店の思想が行き渡っている。もちろん、料理もお酒もその思想を具現したもので、店主は声高に言わなかったが化学調味料を使わないとか無農薬や減農薬の野菜をつかうとか、そういうお店であった。

幡さんの三線ライブを近年は毎年夏にやったこと、ウィスコンシンから電話をかけたこと、あつこさんがぼくのことを自称母親だと言い出したこと。とっくみあいの喧嘩がおきそうになったこと。お店の片付けを手伝いながらどうしようもなくそういったことが思われた。店主やあつこさんや、よく集う仲間。みんな若かった。本当は若かったのかどうかわからないが、店がおわるいま思うと、きっと若かったのだろうという気がしてくる。池田満寿夫の版画がなくなり、メルクスの自転車がなくなり、あちこちに並んでいた壜がなくなっていく。

いつか店主は別の店をひらくという。それまで、何人かでテーブルや椅子を預かると称して譲り受けることになった。ぼくもひとつ譲り受けた。持ち帰ってみがいて、いま、小さな書斎に入れた。本を読んだり、文章を書いたり、短歌をつくったり。ビザールの思想としての机と椅子。それがここにあることがかなしいけれど、うれしい。

ジャイプール

jaipurジャイプールあのたそがれにもどりたし今ひしひしと銀の三日月
             江戸雪『駒鳥(ロビン)』砂子屋書房2009

この歌をはじめて読んだのは、『塔』の誌上だったと思う。たしか、その頃ぼくは、選歌欄評を書く担当であったときで、この歌を選んで書いた記憶がある。そういう時に選んで書いた歌が一冊の歌集になったときに、まびかれずに、ちゃんと入っているっていうのはとてもうれしいことだ。ジャイプールはインドなのだが、もちろんインドということによって感じるものは独特なのだし、インドを放浪した江戸さんにとってはそれは絶対なのだろうけれど。でも、海外にいてひとり街をあるいていて感じることって、違いはあれども、共通性もずいぶんとあるとおもうし、何よりこの歌では「もどりたし」と言っているのだから、現在は違う環境や状況に心身ともにあることがわかる。そういう身体に「今ひしひし」というのがすごいなあ。いいんだなあ。三日月も銀色なんだなぁ。なんだかな。がんばろ。

それでなんでこういうことをと言えば、本日只今飲んでいるビールが、Jaipur IPAIPAというのはどうだろ、普通に流通している言葉と言えるのだろうか。india pale aleのことである。インディア・ペール・エールはインドに船旅で行くときにビールが腐らないようにとアルコール度数を上げたのが起源だ。だから、普通の例えばラガービールがアルコール度数5%くらいなのにたいして8%とか9%ある。ただ、このジャイプールは5.9%。なかなか意欲的で、まじめな、まっすぐなビールである。

川沿いの靄

もやいまの職場になった4月から海沿いを走ることが極端に減った。毎日山沿いというか川沿いというか田舎道である。そんな道にも異変はあって、いいなあ、と思うこともある。

今月になって、特に寒い朝のこと。川沿いというか山の麓というか靄がかかる。今日などは車の外気温計はマイナス1℃を示していて、まさに、この寒さで太陽が出ているときは絶好の朝靄日和。川沿いを走るくるまが少しずつ少しずつ靄のなかにはいっていく。ぼおうっとした空気のなかにはいていくのは独特な感じでぼくはすきだ。今日などは遙か向こうに見える中国山地の雪をいただいた山々に光がさしていて神々しく、うつくしかった。

そうかといって、寒くてもいいとか雪がたくさん積もってもいいとか、そういうことではない。くれぐれも。

みずたまり忘年歌会&忘年会

ガンバリウス昨年につづき、みずたまりの今年の忘年会はガンバリウスでの宴とペンション伽羅木の宿泊というプラン。その前に歌会を倉吉でおこなった。参加者は11名。みずたまり史上最大の人数である。島根、大阪、京都から参加があった。

ガンバリウスは、これまた去年同様に満員であった。ぼくたちは、10月初旬に予約をしていたので何と言うことはなかったのだが。ところで、やはり大山Gビールはヴァイツェンピルスナーといった軽いものが得意であるという印象を今回も強くした。決して派手なわけではないが、ちゃんとつくったすっきりした澄んだおいしさをヴァイツェンピルスナーには感じた。(好みの問題であるが、スタウトなどは軽すぎるとおもった)。

そんな飲み会のさなかにガンバ降格というしらせをもらった。ガイナーレの運営にあきれはてつつ応援していることをおもうと、J2でガンバとやるというのはうれしい気もするが。それにしても、ガンバといいヴィッセルといい、今シーズンに西野監督をきった2チームが沈んだというのは何かあるのだろう。ガイナーレのこともそうだが、地元から愛されなくなったチームはおわりである。ガンバは大阪の人々に愛されているのだろうか。いや、愛されるかどうかというのは、チームのフロントが愛されるような運営をしているかである。フロントの意識が問題なのだ。ガイナーレよ。

今シーズンのtotoBigもおしまい。成果はやはり上がらなかった。くっそー。

真珠の首飾りの少女

しんじゅ神戸というのはぼくにとっては第二のふるさとである。といっても、このところ神戸に行くことはめったになくなった。大阪・京都は月に一度はいっているのに、である。不義理をしているものである。そんな神戸へ出張することになった。渡りに船というか、飛んで火に入る夏の虫というか、ばっちりこちらのものである。という意気込みで向かった。JR三ノ宮駅に着くと、しかし、あらー、これは完全なるアウェーという感じ。いやあ、ずいぶんひさしぶりすぎ。とはいっても、北は六甲山、南は海というロケーションは身についているので、歩いていれば思い出していく。新しいビルやお店もたくさんあるのはあるのだが。

お昼。ごくわずか時間があいたので、ダッシュで神戸市立博物館へいってフェルメールの「真珠の首飾りの少女」を見た。平日の昼間ということで、予想よりも圧倒的に人が少なく、よさそうないくつかのものと真珠の首飾りの少女だけを見て、トータル30分ほどでまわれた。

実は、二週間ほど前にたまたまスカーレット・ヨハンソン主演の映画「真珠の首飾りの少女」を見たところであり、絵の前にたちながら、映画のシーンを思い出しもした。「こころまで描くの?you look inside of me.」などの台詞も。 写真はポスター。この展示のスポンサー?の保険会社のイメージキャラクターを武井咲がやっているのだそうだ。

予防接種とオリーブとiPhone5

オリーブ旬を10日と数えるならば、本日11月10日はぎりぎり上旬。いやもうそこに11月中旬。そんな本日は、インフルエンザの予防接種に件の本城内科クリニックへ。土曜午後のスタートは2時なので1時45分くらいにいくとすいすいと待たずに終わった。ついでにケンタンも処方してもらう。これで年末まで乗り切れるとよいのだが。隣の薬局へいって、それから車にまどろうと、クリニックの前を歩いていると、さっきは気づかなかったのだが、オリーブにたくさん実がついている。完熟という感じ。もったいないなー。しかし、鉢植えでよくぞここまで。

そうしていると、突如ソフトバンクから電話が入る。先週予約したiPhone5が届いたとのこと。駅前のソフトバンクへ行く。ちいさな店で、カウンター3席。うち2席しか稼働していない。その2席のお客さんのつぎがぼくという感じ。これも早いぞとおもっていたら、30分経ってもまったく動きがない。ぼくの次のお客さんもなし。そういった状態で待つこと70分。前の2組が ほぼ同時に撤収。なんだよ、おい。という気持。ながいながい待ち時間であった。しかし、若いお兄さんの対応がことのほかここちよく、気分も晴れる。ま、ここにいは書かないがソフトバンクのやりかたのいろいろを思うこともあり。

そんなこんなで明日から中旬なのだなあ。