みずたまり

はしりながらねむれ

辨天娘槽搾り中垂れ

中垂れあたらしい年に飲むはじめの酒は、やはり日本酒。鳥取県若桜町は太田酒造の「辨天娘槽搾り中垂れ」。年末に中沢酒店で購入したもの。五百万石をわずか70%しか搗いてないこの酒は、飾らないのに口に入れた途端鼻にぬけていく香りがすばらしくちょっとした酸味も心地よい。何より中心が太い味がする。日本料理「淳」のおせちを食べながら(つまり食中酒として)飲むのには抜群である。淳の店主は縁あって彼の若い時代からの付き合いである。新地で修行を積んで、それから店を構えてもう(たぶん)7年くらいになるのではないかしら。基本を大切にした手仕事とはこういうことだということを食べるたびにいつも立ち止まらせてくれる。もちろん、器は中井窯。手にするたびに、あの静かで整然とした仕事場や庭を思い出す。やはり、鳥取にあって、いや鳥取にあるからこそ剣を磨くようにそこにある大切な思想を技を磨き、民芸という枠組みを更新していこうとなさっているのだと感じる。

ぼくの仕事もそれから短歌もこういったひとびとが、やっているように、日常に静かに丁寧にやっていきたいものである。そんな2013年。もちろん、ぼくのまわりのひとびとに大いにたすけてもらうことは、欠かせない。みなさま、どうぞよろしくお願いします。