みずたまり

はしりながらねむれ

closing hour

しめる木曜日と金曜日は、なかむら食堂で夜遅くまで飲んだ。飲みながらビザール店主となかむら食堂の店主やさつきさんと話した。ビザールの片付けがほんとにおわりそうで、鍵ももう返すのだと。

今日行ってみると店主が床ふきをしていた。もうとくに手伝うこともなさそうで、何もかもなくなってしまった店の床をふく店主のすがたをみていたら気持がどうしようもなく動揺してしまった。と同時に、この店を閉じる時間というのは、きっと店主だけがすごすべきものなのだとおもった。

Kaltenecker Trio "Rainy Film"に入っている"closing hour"を聴きながら、閉じていくそのときがどんなことにもあるというそのあたりまえのことをどうしようもなくさびしくおもってしまっている。ありがとうビザール。店主。あつこさん。

効きビール

60000 のコピー今年の勤務開始は4日。かなりの寒さで、少し早めに家をでた。雪は3センチほどなのだが、凍結がすごい。8時前に到着。ちょうど60000
キロ走破していた。そして外気温はマイナス1℃。

年末に先輩であるIさんとふたりでひさしぶりに飲んだ。それが、とてもゆたかな時間だったので、年明けそうそうにまたふたり飲みを実行したのは昨日(1/4)。

Iさんとふたりで、韓国焼肉トントンというところに行った。ここは、夏に屋上ビアガーデンのようなところで韓国焼肉をやったところが店舗として営業することになったところ。夏にいったときには、ほんとに韓国を思わせるチープなプラスチックの椅子やそれからエゴマやサンチュで包んで食べる豚肉がおいしかったことを覚えている。年末に予約の電話をかけると、飲み放題がビールの種類によって違うという説明をうけた。通常は麦とホップだけの飲み放題だと980円なのだが、大山Gビールのヴァイツェンが入ったプランにすると980円+800円になるという。それならばもちろん+800円である。この飲み放題であると、①麦とホップ(ビールに非ず)、②エビス黒、③キリンラガー、④ハートランド、⑤スーパードライ、⑥スーパードライ黒、⑦サントリープレミアムモルツ、⑧大山Gビールヴァイツェンのどれを飲んでもよいということである。

実際に行ってみると、なんとかなしいことに、 ⑧大山Gビールヴァイツェンの樽が正月で届いてない!ということで、結局⑧なしの+500円プランの①~⑦となった。(うーん。このあたりいろいろ文句も言いたい。トントンが問題なのか大山Gビールが問題なのか)。だがそれはそれとして殊更の怒りもなく、ふたりの飲みは大いにもりあがり、それで、小さなグラスに①②③⑤⑥⑦の6種類をいれてもらって全部を飲みたいと言ってみると、応じてくれた。(接客はすこぶるすばらしかった!)。 このとき、ちょうどハートランドをふたりとも飲んでいたので、それをのみほしてから、すこしずつまずは飲んだ。そうして試飲のように飲み比べると、それぞれの味の違いがほんとによくわかった(それぞれの感想はここでは省略)。そうして後、お互いに順不同で目隠しして出題し合い解答しあう効きビール6種類をおこなった。結果、Iさんは全部外してしまった。普段はスーパードライがうまい!とおっしゃるのだがその⑤スーパードライもききわけることができず、ちがいがあきらかに目立っていた①麦とホップや⑦プレモル、ふたつしかない黒ビールの②エビス黒と⑥スーパードライ黒の違いもあきらかだとおもったのだが。。。さてさて、ぼくはというと、もちろん6種類すべてききわけた。おほほ。それから、ノーグランでラムを♪

椿さむくないか

椿年賀状の追加投稿を1月1日に行った。1月1日の鳥取市は晴れていて空気は冷たかったけれど、太陽はあたたかかった。うちから中央郵便局まで徒歩8分くらい。歩いていると生け垣にピンク色の椿が咲いていた。陽射しをあびてとてもすがすがしかった。

今朝からの雪をみながら、椿の花はどうなったいるのだろうかと心配する。雪が載ってもっとうつくしくなっているのかもしれないが、寒いだろうなぁ。椿。

辨天娘槽搾り中垂れ

中垂れあたらしい年に飲むはじめの酒は、やはり日本酒。鳥取県若桜町は太田酒造の「辨天娘槽搾り中垂れ」。年末に中沢酒店で購入したもの。五百万石をわずか70%しか搗いてないこの酒は、飾らないのに口に入れた途端鼻にぬけていく香りがすばらしくちょっとした酸味も心地よい。何より中心が太い味がする。日本料理「淳」のおせちを食べながら(つまり食中酒として)飲むのには抜群である。淳の店主は縁あって彼の若い時代からの付き合いである。新地で修行を積んで、それから店を構えてもう(たぶん)7年くらいになるのではないかしら。基本を大切にした手仕事とはこういうことだということを食べるたびにいつも立ち止まらせてくれる。もちろん、器は中井窯。手にするたびに、あの静かで整然とした仕事場や庭を思い出す。やはり、鳥取にあって、いや鳥取にあるからこそ剣を磨くようにそこにある大切な思想を技を磨き、民芸という枠組みを更新していこうとなさっているのだと感じる。

ぼくの仕事もそれから短歌もこういったひとびとが、やっているように、日常に静かに丁寧にやっていきたいものである。そんな2013年。もちろん、ぼくのまわりのひとびとに大いにたすけてもらうことは、欠かせない。みなさま、どうぞよろしくお願いします。

机と椅子

机と椅子ビザールの開店は1988年11月16日。今年は2012年だから24年間つづいたことになる。だが残念なことにビザールは24年の歴史を今月で閉じる。それで、お店の片付けに昨日と今日とすこしだけど行ってきた。ビザールは心というか思想がすみずみにまで行き届いた店で、椅子は既製品だそうだが、机も、棚も、カウンターもみんな店主が図面/スケッチを描いて職人さんにつくってもらったのだそうだ。開店前に、その机や棚ができて備え付けられたときに、こともあろうに店主はどうしてもしっくりこなくて、色を塗り替えたりもしたのだそうだ。そういうこだわりはちいさなところにもあって、入口のドアノブ、トイレのドアノブ、洗面蛇口、スピーカーなどきりがない。言い出したらきりがないが、ひとつひとつに店の思想が行き渡っている。もちろん、料理もお酒もその思想を具現したもので、店主は声高に言わなかったが化学調味料を使わないとか無農薬や減農薬の野菜をつかうとか、そういうお店であった。

幡さんの三線ライブを近年は毎年夏にやったこと、ウィスコンシンから電話をかけたこと、あつこさんがぼくのことを自称母親だと言い出したこと。とっくみあいの喧嘩がおきそうになったこと。お店の片付けを手伝いながらどうしようもなくそういったことが思われた。店主やあつこさんや、よく集う仲間。みんな若かった。本当は若かったのかどうかわからないが、店がおわるいま思うと、きっと若かったのだろうという気がしてくる。池田満寿夫の版画がなくなり、メルクスの自転車がなくなり、あちこちに並んでいた壜がなくなっていく。

いつか店主は別の店をひらくという。それまで、何人かでテーブルや椅子を預かると称して譲り受けることになった。ぼくもひとつ譲り受けた。持ち帰ってみがいて、いま、小さな書斎に入れた。本を読んだり、文章を書いたり、短歌をつくったり。ビザールの思想としての机と椅子。それがここにあることがかなしいけれど、うれしい。

ジャイプール

jaipurジャイプールあのたそがれにもどりたし今ひしひしと銀の三日月
             江戸雪『駒鳥(ロビン)』砂子屋書房2009

この歌をはじめて読んだのは、『塔』の誌上だったと思う。たしか、その頃ぼくは、選歌欄評を書く担当であったときで、この歌を選んで書いた記憶がある。そういう時に選んで書いた歌が一冊の歌集になったときに、まびかれずに、ちゃんと入っているっていうのはとてもうれしいことだ。ジャイプールはインドなのだが、もちろんインドということによって感じるものは独特なのだし、インドを放浪した江戸さんにとってはそれは絶対なのだろうけれど。でも、海外にいてひとり街をあるいていて感じることって、違いはあれども、共通性もずいぶんとあるとおもうし、何よりこの歌では「もどりたし」と言っているのだから、現在は違う環境や状況に心身ともにあることがわかる。そういう身体に「今ひしひし」というのがすごいなあ。いいんだなあ。三日月も銀色なんだなぁ。なんだかな。がんばろ。

それでなんでこういうことをと言えば、本日只今飲んでいるビールが、Jaipur IPAIPAというのはどうだろ、普通に流通している言葉と言えるのだろうか。india pale aleのことである。インディア・ペール・エールはインドに船旅で行くときにビールが腐らないようにとアルコール度数を上げたのが起源だ。だから、普通の例えばラガービールがアルコール度数5%くらいなのにたいして8%とか9%ある。ただ、このジャイプールは5.9%。なかなか意欲的で、まじめな、まっすぐなビールである。