みずたまり

はしりながらねむれ

若人とハゲ天

歌舞伎座有楽町線新富町駅そばのホテルから歌舞伎座まで歩く。案外すんなりたどり着いた。歌舞伎座は6月2日からの公演に控えて舞台稽古中との張り紙があった。歌舞伎座のすぐそばにはマガジンハウス社のピンク色のビルがある。そんなわけで、つい近年までこのマガジンハウスでバイトをしていた若人と歌舞伎座の前で待ち合わせて久しぶりにあって昼食をとることになった。彼女は今年から『BE-PAL』『b・p』のライターのような仕事をしているのだそうだ。先週は取材でスウェーデンに行ってきたとのこと。ぶらぶら歩きながらしゃべっていると、「ハゲ天」が目に入り、中へ。2000円の天ぷら定食をいただく。揚げ物8品とご飯と赤だし。ぼくにとっては昼食で2000円はずいぶん豪勢なのだが、コストパフォーマンスとしては◎だろう。美味しく食せば、話もはずむ。学生時代にはロシアへ単身旅行へ出かけてしまうほどの行動力とロシアを選んでいってしまうような同世代の多くの若人とはちょっと異質な感覚のもち主である彼女。カメラも好きで、ワークショップへいまでも参加して腕を磨いているそうだ。去年は個展?も開いたり。恐ろしいほどエネルギッシュ。語る眼がキラキラしている。出来る限りいまの自分に誠実に納得がいくように生きようとしているのだろうなぁ。それによっていろいろと悩んだり引き裂かれたり捨てなければならないこともあるだろうに、そんな愚痴みたいなことは少しも漏らさなかった。JR新橋駅で別れた。これから仕事に行くのだそうだ。帰りに樹村みのり『カッコーの娘たち』朝日ソノラマを読んだ。若人の行く先が歓びにみちあふれるといいなぁと思う。