みずたまり

はしりながらねむれ

みずたまり第41回例会

雪2㌢ずたまり第41回例会終了。充実した例会だった。ここのところ週末になるたび寒波がやってくるようだ。例会の反省会後歩いて帰る。2㌢ほど雪が積もっていた。まずは、いつものように池本一郎先生選の3首
◎天なんて信じてなんかいないけど天使はいると子を見て思う 〈貴〉
○傘つたう雨の雫を数えてるじぶんに気づく、夕暮れ、由良駅 〈中〉
○からからと空き缶の音遠くまで地道というに栞をはさむ 〈荒〉
「天なんて」の歌。「天」と「天使」が良好。「子を見て思う」はいかなる子なのかを読者に委ねる形であるし、直接的でありすぎるきらいもあると。「信じてなんかない」もちょっともたもとしているので池本先生は一考をと。「天なんて信じてないが星を見る/雪を食う子を見て思う天使はいると」などに変更可能との教示。なるほどなぁ。会員からは「天」=神とすんなりとれるのかとか、「子を見て思う」についての違和の指摘があった。けれども、幼子の神聖に対しては多く賛同があった。
「傘つたう」の歌。互選でも最多得票を得た歌。読点は助詞などで説明的につなぎたくないというところを巧妙に表現できていると。会員からは、由良と夕暮れの音の重なりのよさ、暮れるということが醸し出す人生や物事の終わりの近さを表現していてそれらが重層的に世界を表現していると。「傘つたう」は再考の余地があるとの指摘もあり。
題詠からは「からからと空き缶の音」の歌。ぼくの歌である。解釈しきれないとの指摘多数。だが、先生はすっきり解釈できたとのこと。「遠くまで」は「遠のきぬ」「遠くゆく」に、「地道というを」を「地道のページ」にと改変してはどうかと。ごもっともなり。ありがたや。実際に静かな夜に本や辞書で「地道」を開いている外で空き缶がかんかんという音をたてるということと、軽く空虚にすすむよりも地道にすすむということを思うなどが重なって一つの世界を生み出しているという池本解釈。作者のぼくと基本線は同じだが、解釈の語り具合には脱帽。さすが我が師。
それにしても、今回は実質3時間余の歌会であったため、時間が足りなかった。議論という交通をもっともっと確保したい。さりとて、とてもとても充実した会であった。