みずたまり

はしりながらねむれ

みずたまり第42回例会

みずたまり第42回例会が行われた。池本一郎先生の選3つは次の歌。
◎遠くばかり眺めていたり春の日は オルゴールはもうじき泊まる〈千〉
○頭だけクラス写真にうつる子は友との諍い記念に残し〈井〉
○菜の花の色なお闇にふんわりと父去りし時われは十七〈中〉
「遠くばかり」の歌。上句については参加者から多く賛同。下句「オルゴールはもうじき止まる」に対しては異義疑義あり。「オルゴールは」の一音たりなさ、上句との関係、「止まる」ということなど。しかし、先生は「止まる」にひっぱられるのではなく、止まるか止まらないかというくらいにゆるやかなテンポであるということが上句との関係で大変よいとのこと。春らしい季節感もふくめてよく描けているとのこと。
「頭だけ」の歌。参加者の解釈の揺れは「頭だけ」に集中。全員の集合写真に休んでいて小窓に枠付けされた顔写真のことをいっているという解釈と実際に顔や体を隠すようにして頭だけうつっている(つまり集合写真には参加している)ということではないかと。先生は「クラス写真」「記念」から前者の解釈を支持。でもゆれるかなぁとも。歌の内容については肯定的な意見が多かった。
「菜の花は」の歌。題詠から選ばれた一首。参加者からも肯定的な支持が多かった。池本先生からは「色」は「黄」とする方がよいこと、「なお」はみれんがましいからいらないとのことなどの教示あり。この歌の他に互選で3票の歌が二首あり。
今回は結構厳しめの辛口批評のムード。またそれもよかった。一首の中での飛躍するばあいの言葉の確かさの問題、関係の濃い言葉が多くあることの弊害などの指摘がめだった。