みずたまり

はしりながらねむれ

「桜」競詠@毎日新聞

毎日新聞2005年4月3日(鳥取には夕刊がないから全国的には前日の夕刊にのっているかも)に《「桜」競詠》として六歌人の桜の歌が載っていることをみずたまりあんに教えてもらった。早速、転載してみる。
「洛北の桜」     河野裕子
 洛北の桜は遅しこぞり立つ蕾がひらくは十日ほどのち
 咲かむとし蕾うへ向く桜木を三月終りの陽がわたりゆく

「南から来る」    早川志織 
 枝と枝ささやきながらひかりながら桜前線は南から来る
 いよいよに咲くよとこころ決めし夜さくら樹は黒き四肢撓めたり

「飛ぶ」       小守有里 
 そふは家霊となって待つふる里の隅ずみを染めあげて桜飛ぶ
 遠足の子を送り出す千の鳥ひそませて鳴る桜木の下

「祖国のさくら」   来嶋靖生
 花咲けばまた蘇る引揚げて祖国のさくら見たるよろこび
 引揚げてほどなく母は世を去れり日本のさくら仰ぐ日のなく

「たろう」      加藤治郎
 濠に浮くさくら花びら行き場なく大震災の三千の耳
 青いテントにすべる花びら項垂れて自爆の順にならぶんじゃなく

「道の桜」      吉川宏志 
 たてがみのごとき桜に出会いたり石塀ながくつづく夕べに
 靴紐のすぐにほどける子とあゆむ桜の花の貼りついた道

今月下旬開催予定のみずたまり第43回例会の題詠は「桜」。参考にしたい。