みずたまり

はしりながらねむれ

みずたまり第45回例会&県知事賞多数入賞宴

 今月も無事にみずたまり例会が実施された。いつもの通り、池本一郎先生の3選。
 ◎君よりもヘモグロビンが半分は少ない時です 追いつけません  《優子》
 ○屋上の旗は激しく吹かれおり上空はるか雲は動かず  《貴文》
 ○水の減る棚田の中の足跡におたまじゃくしはかたまり泳ぐ  《政彦》
 県知事賞記念@宴今回はいつものメンバーの真季さんがお仕事のため不参加で残念。◎の優子さんは初投稿で初◎!(投稿はあったがこれまたお仕事にて不参加) それにしてもおいおい45回の積み上げはどうなったんだみずたまり(>_<)と嘆いたら、池本先生に「そんなことは気にしない。いいときもわるいときもありますよ」と。まさに新しい血がみずたまりに入って活力がうまれると捉えるべきだな。よし。ということで、コメントのまとめを。
 ◎「君よりも」の歌:極選で政彦さんも採っていた。歌意としては女性の作者が身体的バイオリズムによって血が少なくなっている時に男性に追いつけないということだろうということでみずたまりあんのほとんどは納得。池本先生は(7月号の角川の『短歌』の60代歌人特集に文章をお寄せになったことも:60代はデリケートなんだとか)年の離れた男女の相聞として解釈。つまり、男性である作者が加齢による肉体的衰えをヘモグロビンの減量と表現しており、自分より若い女性においつけないと言っているのではないかと。それもありかも。この歌の特徴は「ヘモグロビンによる肉体の表現」にあると池本先生。政彦さんは男性は常に女性に追いつけないとの考えを披瀝なさったりと議論も盛り上がった。
 ○「屋上の旗は」の歌:なおみさんがやはり極選でとっていらして、またその極選の文章がよいとの評価もあり。大きく二つの解釈がありうるとのことになった。①目の前にある屋上の旗は激しく揺れこれはあたかも自分たちが日常にばたばたしているようなことであるが、そらは泰然としていて目先のことばかりにとらわれずにもっとゆったり進みなさいと感じさせるもの。②旗が想起するもの。それはレジスタンス的なもの。自分の内にあるいは社会に対してあるいは何か闘うべきものに対して立ち上がり激しくこうどうしているが、世界はほとんど変わらないというもの。当然のことながら、池本先生はどちらの解釈も許容。池本先生曰く、自分は若かった頃の安保などを思い出すが、いまの人はこの歌をどのように感受するか知りたかった。果たして解釈が①でも②でもやはりこのような歌の方向性は残っていく大事なものだと確認できた由。今回の貴文作品は「本格的」だと賛辞あり。
 ○「水の減る」の歌:みずたまりあん2名も選を入れていた歌。歌意はゆれないだろうからここでは省略。池本先生は高野素十の「流れきて次の屯へ蝌蚪ひとつ」を引きながらこの歌の持つ奥深さをお解きになる。処理の問題として、「水の減る」→「水減りし」、「かたまり泳ぐ」→「かたまっている」とすべきと。具体的な現象を捉えることの背後にぼくたちの今や生に響く作品であると感じた。発見的認識と写実ということを改めて考えた。
 今回も選がばらけて互選での3票以上の歌はなかった。今回の例会でしるしておきたいこと。
「それだけで十分一首となりうる具体的な写実を比喩として用いることはもったいない」
「作者の意図をあらわにしないための処理を考えること」
「細部にこだわるのが大事なときもあれば、大まかでよいときもある」
 例会後、「日和」で数ヶ月遅れの県知事賞受賞者多数のお祝いを行った。

花束

ひさしぶりの宴(除反省会)はずいぶん盛り上がってみんな楽しくすごせた。池本先生から県知事賞のコメントもいただけた(ずいぶん舌滑らか)。大きな岩垣もおいしかったぁ!そうそう、みずたまりあん合意事項の3ヶ月で20首提出の「量産20」も配布。池本先生は「聞いていないからびっくり」との反応。みずたまりはどっこい干涸らびませんぜぇ。してやったり(^_^)v 宴ではみずたまりあんのみなさまにとても美しい花束をいただいた。いつもいつも感謝するばかりだm(_ _)m