みずたまり

はしりながらねむれ

みずたまり第43回例会

昨夜みずたまり第43回例会があった。いつも通りのメンバーでスタート。いつもは午後10時までいっぱいいっぱいなのだが、今回はスムースな進行!短歌も議論もなかなかよい感じですすんだ。池本一郎先生の3選はすべて題詠「桜」から。
◎桜いま満開にして散る花びらひとつもなしと言ふひと 歌人 〈千〉
○ページからふと目を上げる 流れゆく列車の窓に淡きピンクが 〈貴〉
○ナムシルの漢字練習ノートには見開き一面「桜」と「平和」 〈荒〉
 「桜いま」の歌。これが今回のベスト◎。作者の自選でもあった。桜の散るはなびらや満開の花については詠まれることがあるが、満開の時に「散る花びら」がないという発見的認識をもつことは普段からそのようにものごとを見ようとしていること。歌人(詩人もふくめ)にはそういうものの見方が必要である。というようなコメント。「花びらは」→「花は」、「言ふひと」→「言へり」、「歌人」→「うたびと」などにすると盤石になるのではとの指摘。
 「ページから」の歌。流れる情景がうまく表現できているとのこと。これも作者の自選。「見上げる」→「見上げれば/見上げしとき」、「流れゆく」→「流れおり」、「ピンク」→「紅」などに変更可能ではとの指摘あり。今回の題詠「桜」はその花の色を何と表現するかにみんな苦慮していたよう。「ピンク」「桃色」はやはり一つのイメージが張りついてしまっているので避けたいという池本先生。
 「ナムシルの」の歌。漢字習得はじめの段階で書く「桜」「平和」とは漢字としての容易さと桜が想起させるものや平和という崇高さとのミスマッチがあり、それがならんでいることがまた妙であると。「ナムシル」→「ナムくん」などにすべきと。
 互選最多3票の次の作品。
△三年目の階段がいま目の前に 左足から行こうと思う 〈中〉
 下句「左足から行こうと思う」が大変よいとのこと。「三年」「いま目の前」は再考の余地ありかという池本先生の指摘あり。
 明日は第56回鳥取県知事賞短歌の表彰式みずたまりあん4名がベスト10入り。表彰式で会う約束をして散会。なかなか充実したよい例会だったと思う。